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  • 執筆者の写真栗原誠

役員報酬の決め方

町田市の税理士くりはらです。


最近、新規設立の法人関与が多く聞かれるので、ちょっと書いてみようと思います。


 いつまでに決める? 


役員報酬は設立後3カ月以内に株主総会で決議して決定します。毎月定額を支給することで法人税法上の損金として認められます。


そして役員報酬の変更をする場合は、各事業年度開始の日から3か月以内であれば変更できます。例えば、3月決算法人であれば、4月から6月までであれば変更することが出来ます。


 金額はどうやって決める? 


これが意外と難しいです。

まず、法人が今期どれくらいの売上が見込まれ、利益がどのくらいの予想になるかを聞き取りします。そして、個人の所得内容もできるだけ正確に把握します。


私はエクセルで法人と個人の時系列の表を簡単に作成し、役員報酬の設定額による所得税・住民税の増加と法人税等の減少を比較します。


所得税は累進課税なので、年収が500万円程度ならそれほどの税負担はありません。法人税等の実効税率が仮に30%とした場合には、社会保険料を除いて考えても、150万円軽減できることになります。当然、所得税等の負担は全然もっと軽いです。


その人が使える控除関係を把握し、役員報酬をいくらくらいで設定するとトータルの税負担が最も軽い(所得税等の負担がなるべく軽く法人税等の負担を軽減できる)か検討します。


効果は高いが、所得税がちょっと高くなりそうなときは、抜けている控除関係があれば、この制度を利用すればこれだけ所得税等が軽減できるという選択肢も準備して選択してもらいます。


仮に今期の売上予測が外れて赤字になってしまった場合でも、欠損金は10年間繰り越すことができ、翌期以降の法人税等の減少につなげられます。


 税金はなるべく払いたくない? 


ここで最近、本当によくいろんな人から聞くのが、なるべく役員報酬ではなく、所得税がかからない旅費日当で受け取りたいという話です。

たしかに旅費日当もうまく活用していただきたいですが、少なくとも私の感覚では最初の一手ではないです。


役員報酬を出さずに法人税等の負担を減らすため、高額な旅費日当を設定しても、通常必要と認められる部分を超える金額は結局給与課税の恐れがあります。


所得税の計算では、基礎控除が48万円あり、給与所得控除があり、もともと生命保険や年金保険に加入している方も多いです。医療費控除や住宅ローン控除も使える場合があります。


(他の収入がある場合を除き)役員報酬を取らなければたしかに所得税等の税金を払わなくて済むかもしれませんが、これら所得控除や税額控除を活かせないことになります。


また、報酬を取らずに会社のお金を生活費のために引き出して役員貸付金になると、認定利息を会社に支払わなくてはならなくなります。


 おわりに 


会計事務所と顧問契約していれば、法人税と所得税のシミュレーションをしてくれるのではないかと思います。


残念なのは、期中は自分でちゃんと入力してあるから、決算でまとめてチェックして税金計算だけ安くやってほしいという依頼。これはよくMFの顧客紹介の希望欄で見かけます。


最初、勉強のため(そして節約のため)に自分一人だけでやってみるというのはいい心がけではありますが、簿記や経理の経験者でなければ、時間がかかりますしリスクも高くなります。


ネットでもいろんな情報が落ちていますが、断片的に拾っても適切に活用できるかはまた別です。専門知識だけでなく、いろんな視点やバランス感覚を持っているのが専門家なので、経営に集中し会社を成長させるためにも専門家をうまく活用していただいたほうがよいと思います。



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