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  • 執筆者の写真栗原誠

上場株式の配当所得課税の見直し

町田市の税理士くりはらです。


令和4年度の税制改正は昨年秋の衆議院選挙を控えていたこともあり改正点は少なめでした。私からみて重要性の高いものを確認していきたいと思います。


 上場株式の配当所得課税の見直し 


令和4年度の大きな改正点は、以下の2つとなります。

①総合課税となる「大口株主等」の見直し

②上場配当等に係る個人住民税の課税方式の見直し


 見直しの検証 


①は大口株主等の判定を個人株主だけでなくその個人株主の「同族会社」の保有分も合わせて判定されるようになります。

つまり、個人株主としては2%保有していた場合、改正前は配当は分離課税ができますが、改正後は、例えば個人株主の「同族会社」の保有分が2%あったとしたら、この分を足して合計で4%保有となり大口株主等と判定されるようになり総合課税(分離課税が選べない)になります。

分離課税なら源泉20.315%で基本終わりですが、総合課税なら源泉20.42%ですが少額配当でなければ他の所得と合算して超過累進税率が適用されます。


②は紆余曲折があります。以前から上場配当等の課税方式は所得税と個人住民税で異なる方法を選択できました。ただ、明文化されていなかったので平成29年度改正で異なる課税方式を選択できると明確化されましたが、自治体が大変となり、令和3年度改正で所得税申告のみで手続きが出来るようになったばかりでした。しかし、個人住民税は所得税の課税方式と一致させるべきということで令和6年分の個人住民税(令和5年分の所得税)から改正となります。


 おわりに 


大口株主等に該当しそうな事例はあまりないですが、ちょうどここで上場する会社から相談を受けました。なお、保有割合の判定では発行済株式総数から自己株式を除くかどうかですが、除かずに判定します。

②の個人住民税は自治体も大変ですが、確定申告時期の会計事務所も有利選択を判断して申告するのが大変でした。

税制はますます難解になってきていますが、わかりやすい説明を出来るように心がけたいです。




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