町田市の税理士くりはらです。
年末年始頃だったでしょうか、贈与税の基礎控除が廃止されるとか一部騒がれましたが、相続・贈与に係る日本と外国との違いを確認してみたいと思います。
日本の制度
【贈与税】
「贈与税は相続税の補完税」といわれます。
日本の贈与税は暦年課税の贈与(暦年贈与)と精算課税の贈与(精算贈与)の2種類があります。
暦年贈与は基礎控除が年110万、相続前3年以内の贈与財産は相続財産に加算されます。
精算贈与は特別控除が2,500万、精算贈与財産はすべて相続財産に加算されます。
なお、一度、精算贈与を選択した後の贈与はすべて精算贈与(暦年贈与不可)となります。
【相続税】
相続税の基礎控除は3,000万+600万×法定相続人の数となっており、基礎控除を超えると相続税申告が必要となります。なお、配偶者は配偶者の税額軽減で1.6億までは無税(要申告)。
相続税率は最低税率10%~最高税率55%で、日本の課税方式は遺産取得課税方式(併用方式)が採用されています。
諸外国の制度
【贈与税】
①アメリカ・・・生涯の累積贈与が相続財産に加算。
②イギリス・・・相続前7年間の累積贈与が相続財産に加算。
③ドイツ・・・相続前10年間の累積贈与が相続財産に加算。
④フランス・・・相続前15年間の累積贈与が相続財産に加算。
【相続税】
①アメリカ・・・基礎控除等は約12億円、配偶者は免税。遺産課税方式。
②イギリス・・・基礎控除等は約4,500万、配偶者は免税。遺産課税方式。
③ドイツ・・・基礎控除等は配偶者は約9,000万、子は約4,800万。遺産取得課税方式。
④フランス・・・基礎控除等は直系血族は約1,200万、配偶者は免税。遺産取得課税方式。
日本と諸外国の違いの考察
大きな違いとしては、日本は暦年贈与の生前贈与加算が相続前3年間と諸外国と比較して短い点です。このため暦年贈与と相続で税負担が大きく異なる結果となり資産移転の時期に中立的でない、とされています。どの時点で生前贈与しても最終的に相続税で一体的に課税する方法が最も公平性が高いといえます。
なお、アメリカは相続税の基礎控除が約12億円と極めて大きいため、相続税の課税割合は0.2%となっており、99.8%の人にとって相続税は無関係となっています。そのため生前贈与が比較的しやすいと考えられます。
おわりに
一般に、高齢者より若年層の方が消費性向が高いので、高齢者から若年層に資産移転を促すことで消費が高まり景気が上向くと考えられます。ただ、最近の若者(言い方がおやじ?)は将来への不安から貯蓄性向が高くコスパなどを重視しているようです。ということは資産をもらってもすぐに消費に繋がらないということでしょうか。ある意味で堅実といえば堅実で賢いとも考えられます。
いずれにしても、ない袖は振れぬ、なので、税制も格差是正、富の再分配として機能してほしいものです。
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